髙田宗平編『日本漢籍受容史―日本文化の基層―』が『史学雑誌』書評で紹介
史学会発行の『史学雑誌』132-9(2023年9月発行)にて、髙田宗平先生編『日本漢籍受容史―日本文化の基層―』が書評に取り上げられました。評者は臼井和樹先生(宮内庁書陵部)です。ぜひご覧ください。
おかげさまで、大変ご好評をいただいている、『日本漢籍受容史―日本文化の基層―』は2023年7月に重版することができました。
前近代の日本を理解するためには、漢籍を知ることが大切となります。あらゆる知識・情報の根源となった漢籍は、どのように受容され、日本文化に根付いたのか。
漢籍に関わる様々な分野の研究者が最新論考を寄稿し、前近代の漢籍受容の歴史を学際的・通時代的に解明した、初の学術書です。
編者、髙田宗平先生による書き下ろしコラム2点掲載
コラム1)漢籍の伝来(書評サイト「ALLREVIEWS」掲載)
https://allreviews.jp/review/5991
清朝以前に中国人が漢文(漢語)で撰した書物=漢籍。日本は前近代において、多くの漢籍が舶載・将来され、漢籍の書写・校合・講読・引用・印刷などの学問営為が行われた。あらゆる知識・情報の根源となった漢籍は、どのように受容され、日本文化に根付いたのか。
コラム2)自著を語る 前近代の日本を理解するために、漢籍を知る(「日本の古本屋」ウエブサイト掲載)
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=10426#TOP
古来、日本人にとって、漢籍は中国文化を知り、これを学ぶ上で重要な道具であり手段であったことは周知の事実である。漢籍を読むことによって知識を取得できたのであり、あらゆる文化は漢籍から読み解く知識がベースとなって生み出された、といっても過言ではない。漢籍はいかにして日本にもたらされたのか。古代から近世に至るまで、日本が漢籍を受容した歴史を概観していきたい。
【試し読み公開】
漢籍の歴史、本書収録論考の概要などを、編者の髙田宗平先生が執筆した「序―本書の概要―」(19ページ)、詳細目次(12ページ)をPDF公開しています。
catalogue.books-yagi.co.jp/files/pdf/d978
【内容説明】
清朝以前に中国人が漢文(漢語)で撰した書物=漢籍。日本は前近代において、多くの漢籍が舶載・将来され、漢籍の書写・校合・講読・引用・印刷などの学問営為が行われた。漢籍の受容を理解することは、日本文化を真の意味で理解することに他ならない。
しかしながら、今日では学問領域が細分化・精緻化しており、さまざまな分野や時代を横断する研究成果が共有できていないのが現状である。
このような研究状況を踏まえ、日本における漢籍の諸現象を学際的かつ通時代的にとらえ、前近代の日本文化を立体的に解明することを目指すことが本書のねらいである。
●前近代日本を知る 日本の古代から近世までを検討対象とし、第一部古代、第二部中世、第三部近世、第四部文献研究の四部構成とする。論考24本とコラム4本で漢籍・漢学が日本のあらゆる分野に与えた影響とその特質を論じる。
●多分野で活躍する研究者の最新論考 執筆者は、中国思想・哲学、中国科学思想史、中国天文学史、中国文学、中国書誌学、中国古典文献学、日本古代史、日本中世史、日本中世文学、日本近世文学、日本漢学、日本書誌学、日本思想史、日本古代・中世文化史、国語学、医史学など、多岐にわたり、日本・中国・台湾の各分野の第一線で活躍する28名が最新研究を踏まえた論考を寄せる。
●学際的、通時代的な切り口 テーマは、受容層では官人・僧侶・武家など、書籍では古辞書・『論語』・『北斗経』など、思想では神仙思想・術数思想など、前近代日本の漢籍や漢学をめぐる諸現象の検討を通じ、前近代日本の文化を明らかにした、学際的、通時代的な研究。
●16頁の口絵 日本に現存する漢籍等の名品から厳選した23点の写真に解説を付して掲載。前近代の日本漢籍受容の歴史を一望できる。
【目次】
口絵で辿る日本漢籍受容史―古代~近世初期篇―(16頁)
序―本書の概要―……髙田宗平
第一部 古 代
1 律令官人と漢籍……水口幹記(東アジア文化史・日本古代史)
2 僧侶と漢籍……池田証壽(国語学)
3 日本古代の典籍に見える神仙思想と洞天説の一側面……土屋昌明(中国思想史・道教史)
4 天平勝宝勘奏に関する諸問題―遣唐使が齎したものの影響―……髙田宗平(日本古代中世漢籍受容史・漢学史、漢籍書誌学)
5 陰陽道・暦道・天文道・宿曜道と漢籍……山下克明(日本古代・中世文化史)
6 摂関期貴族社会における漢籍収蔵の様相……小倉慈司(日本古代史・史料学)
7 日本の医学知識の受容……松岡尚則(外科学・漢方医学・医史学)
〔コラム〕高松塚古墳壁画とキトラ古墳壁画の星宿図……髙橋あやの(中国天文学史)
第二部 中 世
1 韻書と学問……小川剛生(中世文学・和歌文学)
2 年号勘文と漢籍引文……水上雅晴(中国哲学・日本漢学)
3 年号勘文より見た南北朝期における朱子学の受容……福島金治(日本中世史)
4 中世神道の道教受容―吉田神道所伝『太上説北斗元霊経』版本再論―……松下道信(中国思想〔道教〕)
5 清原家の学問と漢籍―『論語』を例として注釈書と訓点との関係を考える―……佐藤道生(古代・中世日本漢学)
6 中世日本の易神の形成とその後……奈良場勝(日本近世の易学)
〔コラム〕五山禅林の学僧が見据えていたもの―日本文学史における五山文学の独自性―……中本 大(日本中世文学・漢文学)
第三部 近 世
1 漢籍の出版と読者層―仮名草子を基点として―……入口敦志(日本近世文学)
2 漢籍の「読まれ方」―石門心学の分析を通じて―……大川 真(日本政治思想史)
3 闇斎学派の『家礼』受容―稲葉迂斎を中心に―……清水則夫(近世日本思想史)
4 江戸中後期好古家による古典籍装訂・装具研究について……陳 捷(中国古典文献学・日中書物交流史)
5 亀門学の儒学観と経書観……金 培懿(日本漢学・経学)
〔コラム〕平田篤胤と漢籍……廖 海華(中国哲学)
第四部 文献研究
1 日本書籍史における漢籍の装訂と料紙……佐々木孝浩(日本書誌学・和歌文学)
2 『群書治要』―金沢文庫本子部を中心にして―……末永高康(中国古代思想史)
3 カラ・ホト出土『春秋正義』単疏本残葉考―兼ねて近藤正斎手鈔『春秋正義』単疏本を論ず―……虞 万里(経学・中国歴史文献・石経学・伝統言語学)
4 林羅山と古活字版―元和四年刊『老子?齋口義』を中心として―……高木浩明(日本中世文学・書誌学)
5 琉球の漢学―見られた琉球の文化という視点から―……高津 孝(中国文学・中国書誌学)
6 古医書の未来図……武田時昌(中国科学思想史)
〔コラム〕漢籍の分類と『日本国見在書目録』……内山直樹(中国哲学・中国古典学)
跋 語……髙田宗平
日本漢籍受容史―日本文化の基層―
(にほんかんせきじゅようし にほんぶんかのきそう)
髙田宗平編
本体9,000円+税
初版発行:2022年11月25日/初版第2刷発行:2023年7月5日
A5判・上製・カバー装・698頁+口絵16頁
ISBN 978-4-8406-2260-8 C3021
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/2364