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日本古書通信

「日本古書通信」2021年10月号(10月14日発売)

主要記事

特集
八木書店古書部 近代日本文人の葉書15

新連載
小野純一 リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」その一≪角川文庫の横溝正史≫
川島幸希 近代作家の資料④ 夏目漱石の森田草平宛献呈本

本と人
塩村耕 足代弘訓『学問答書』のこと
田坂憲二 雑誌『エトアール』のこと―吉井勇周遊―
竹居明男 架蔵の正倉院関係資料から(補遺)稀覯資料の紹介

古本屋
札幌・一古書店主の歩み 弘南堂書店高木庄治氏聞き書き 創業前(三)

連載
石川 透 奈良絵本・絵巻の研究と収集(25)「百人一首」
岡崎武志 昨日も今日も古本さんぽ132 川越市「かっぱ文庫」「ホォル」
真田幸治 小村雪岱と挿絵倶楽部③「新聞小説の挿絵」『ホーム・ライフ』

コラム
出久根達郎 本卦還りの本と卦174 なにはおもはず

その他

 川島幸希「近代作家の資料④ 夏目漱石の森田草平宛献呈本」より

昨年末ネットオークションを見ていたら、「三四郎   夏目漱石、明治42年 初版函」の出品があった。商品説明には「函は背欠、天日焼け裏表紙少シミ。本体はクロス装 背日焼け、見返し裏に書込あり。本文の状態は良好です。」とある。出品者は神奈川県の古本屋。普通はスルーしてウォッチ・リスト(オークションの成り行きを追うリスト)にも入れない本だ。

ところがアップされた画像の一枚を見て驚いた。見開きで見返しの裏と扉が写っているのだが、扉に印刷された「夏目漱石著」の横に、「漱石」の印が見えるではないか!

実は、家蔵の『三四郎』大谷繞石宛献呈本には「著者」とか「夏目金之助」と記す代わりに、この独楽型の印が捺されているのである。神奈川近代文学館所蔵の野上豊一郎宛『三四郎』も同様だ(独楽型の印も同館所蔵。広島市立中央図書館所蔵の鈴木三重吉宛も、目録に「漱石の印譜あり」とあるが未確認)。

印の場所は異なるが(大谷宛と野上宛は宛名の下)、これは漱石の献呈本なのではないか。そう思い、同じ画像の右側の「見返し裏に書込あり」を見た。通常、献呈署名がなされる場所である。

 

【お知らせ】

本誌は本年3月号で通巻1100号を迎えました。それを記念して、八木書店古書部が30年間に亘って蒐集してきた、近代文人の葉書1700名1700枚を全て画像付きの販売目録を兼ねた記事として、2020年8月号より3年間に亘り掲載していくことになりました。講談社『日本近代文学大事典』人名索引に掲載された文人を五十音順に掲載していきます。
ネットでの公開販売はなく、本誌定期購読者のみへの販売となります。
連載を保存することで、近代文人筆跡の参考文献となります。この機会に定期購読の契約をお勧めいたします。


10月号 10月14日発売 定価750円(送料79円)※ご注文はメールまたは電話、FAXで。

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