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日本古書通信

6月号 6月15日発売 定価720円(送料78円)

6月号 6月15日発売 定価720円(送料78円)

主要目次
特集・東北の古本屋2 宮城県1  (本誌・折付桂子)
不思議な邂逅            太田正弘
ガリヴァーとオリエント       千森幹子
近世戯画の動物 国芳の猫絵     宮尾與男
明治大正持続する書物3「小公子」  多田蔵人
昨日も今日も古本さんぽ92     岡崎武志
本卦還りの本と卦 少年の物語    出久根達郎
その他。

不思議な邂逅(太田正弘)より
私は昭和49年、名古屋の和本が専門の書店で、江戸初期か、ひよつとすると、桃山に遡るかと思へる写本『本願寺聖人親鸞伝絵』の下巻一綴を一万円で買つた。下巻のみなのに店主も、その様に評価し、私もそれをヨシとして買つた。
名古屋では年3回、骨董祭と云ふ、所謂骨董市があり、百軒程の骨董屋が出店してゐる。是頃、御無沙汰であつたが、この五月、久々に行つた所、ありふれた版本が雑然と置かれた中に、一寸、古い写本が目につくと共に、何となく気になつたので、いくらかと聞くと、上巻のみだが千円だと云ふので買つて帰り、早速、前記の下巻の写本と並べてみた所、用紙、寸法、筆跡ともに同じである。そして何より表紙(本紙と共紙)の渋のあとも同様で、間違ひなく、この上下は本来のツレである。