尊経閣善本影印集成66 台記〔第八輯 平安古記録〕
『尊経閣善本影印集成66 台記(宇槐記抄・台記抄・宇槐雑抄)』が納品となりました。第八輯平安古記録全11冊のうち、第6回配本となります。
今回所収の「台記」は、平安時代末期の公卿、藤原頼長(1120?~1156)の日記です。『台記』は、当時の朝儀・公事の詳細を記すほか、鳥羽院政下の政治や社会事象に対する頼長独特の判断が積極的に語られており、保元の乱に至る経緯を探るための第一級の史料となっています。
尊経閣文庫には『宇槐記抄』3冊・『台記抄』1冊・(ともに三条西公条筆)・『宇槐雑抄』1冊(室町時代写)などが伝わっており、今回高精細カラー版にて全頁を初公開いたします。『台記』の自筆本は現存しておらず、鎌倉時代の古写本や江戸時代以降の新写本が伝わっていますが、尊経閣文庫所蔵の抄出本はこれらの欠誤を補訂することになり、大変貴重です。
さらに本書影印版では、詳細な原本調査をふまえた尾上陽介先生による「解題」(A4判・18頁)を収録しております。尊経閣本(宇槐記抄・台記抄・宇槐雑抄)のそれぞれの書誌事項にくわえ、尊経閣文庫に伝来する5種の写本についても言及しています。
圧巻なのは、「付表 尊経閣文庫所蔵『台記』(宇槐記抄・台記抄・宇槐雑抄)記事編年一覧です。3冊に収録されている記事を編年順に配列し、史料大成や史料纂集などで翻刻されているかどうかを示します。この一覧をみることで、公刊されている書籍に翻刻がなされているかどうか、一覧で確認できるのです。
また「附載」として『台記抄』紙背文書の翻刻を全文掲載しています。三条西公実(1487-1563)や細川元常(1482-1555)、東坊城長淳(1506-1548)などの書状が掲載されています。
このように、本書は高精細カラー版で尊経閣本「台記」の全文を見ることができ、さらにその価値を知るための詳細な「解題」も収録されています。12世紀の基本史料「台記」を読み解くための基本文献といえます。ぜひご活用下さい。
尊経閣善本影印集成66 台記(宇槐記抄・台記抄・宇槐雑抄)〔第八輯 平安古記録〕
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