八木書店略史

昭和9年日本古書通信社として八木敏夫が創業以来、書籍の情報発信、古書売買、出版社の在庫買入、販売、学術書の出版と神保町を中心として広く書籍を扱ってきました。その歴史を述べさせていただきます。コラムには八木敏夫の回顧録、また、各部門の略史を順次掲載いたします。
今後ともよろしくお引き立て、ご愛顧、ご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

  • twitter
  • facebook

1. 日本古書通信創刊から神保町営業時代

内容
1934年(昭和9年) 1月 八木敏夫が昭和4年から勤務の「一誠堂書店」から独立、「日本古書通信社」を神田三崎町にて創業。
以後神保町2丁目6番地、小川町3丁目34番地、神保町2丁目5番地、神保町1丁目17番地へと移転。
日本古書通信社では雑誌「日本古書通信」を発行。
市場の相場速報、古書業界の動向などを伝えて全国の古書業者から歓迎された。
9月 六甲書房を設立。
古書売買、特価書籍買い卸並びに出版を行う。
1935年(昭和10年) 11月 「図書祭記念全国古本屋総合古本販売目録」発行。
多くの全国の古書店の参加を得て、情報が少ない時代に読者からも歓迎される。
1936年(昭和11年) 8月 八木福次郎入社。
10月 東京古書籍商組合から「相場公表」を突然に禁止される。
1937年(昭和12年) 1月 「日本古書通信」を業界誌から、古書店と読者を結ぶ趣味と実益の雑誌として一般向けに内容を変更。
4月より全国の古書店の販売目録を毎号掲載して歓迎される。
1938年(昭和13年) 9月 この頃より六甲書房では内外書籍の「古事類苑」「読史備要」「復古記」「広文庫」「皇学叢書」「日本文学叢書」など古本屋向きの良質な出版物の在庫を一手に引き受け、特価本として卸販売を行う。
斎藤昌三氏の書物展望社、鉄塔書院など多くの版元の本も扱う。
1940年(昭和15年) 統制経済下、古書業界が古書の公定価格も決めるよう求められ、商工省物価局事務官前田福太郎氏が古書通信の読者であった関係で、八木敏夫が折衝に当たる。
1941年(昭和16年) 12月 雑誌統合により「日本古書通信」を「読書と文献」に改題。
1942年(昭和17年) 3月 八木敏夫が「古書組合」理事に任命され、9月「全国古書組合連合会」事業部長になる。
1944年(昭和19年) 3月 八木敏夫が応召、中支へ転戦。
同年12月「読書と文献」休刊、六甲書房も休業。
1945年(昭和20年) 8月 終戦。

2. 戦後上野松坂屋古書部、特価本仕入部営業時代

内容
1946年(昭和21年) 6月 八木敏夫復員、8月より「上野松坂屋古書部」をテナントとして経営。
続いて銀座、名古屋、静岡の各「松坂屋古書部」を経営。
「上野松坂屋藤友会」会長を務める。
1947年(昭和22年) 2月 上野松坂屋「古書展」を開催。
6月 「日本古書通信」復刊。
1949年(昭和24年) 4月 上野松坂屋別館に「特価本卸部」を開設。
1951年(昭和26年) 7月 上野松坂屋「新本特価市」開催。
その後東京から北海道、東北、中部の百貨店60店と契約して「新本特価市」を開催。
1952年(昭和27年) 6月 「全国出版物卸商業協同組合」設立。八木敏夫は理事、事業部長、理事長を歴任。
「全国出版物卸協同組合30年の歩み」を昭和56年に刊行。

3. 神保町1-45卸部時代

内容
1951年(昭和26年) 7月 神田神保町1丁目45番地に「特価本仕入部」を併設し、店売を行う。
1952年(昭和27年) 2月 本社を神田神保町1丁目45番地に移転。
1953年(昭和28年) 3月 「上野松坂屋古書部」閉鎖。
8月 「株式会社八木書店」と改称。
新刊取次事業を開始。
1954年(昭和29年) 池袋倉庫を開設。その後、都内七箇所に倉庫を置く。
1957年(昭和32年) 4月 従来八木書店の経営分野であった特価本の百貨店での即売会部門を、同業者と共に「第二出版販売株式会社」を設立委譲。
1960年(昭和35年) 11月 「神田古本まつり」立ち上がる。
東京創元社から譲り受けた版権の「夏目漱石作品集」など大いに売る。

4. 神保町1-1古書部設立、船橋商品センター設立、天理善本叢書刊行時代

内容
1961年(昭和36年) 4月 八木乾二入社。
10月 神保町1丁目1番地に「古書部」を建築、開業。
1962年(昭和37年) 5月 日本橋白木屋で「文車の会主催古書フェアー」を開き、大成功を収める。
その後も池袋西武、大丸、横浜高島屋、東急東横店、三越、船橋東武、札幌丸井、仙台などで「百貨店古書展」を開く。
第二出版販売の「新本特価市」との併催。
6月 八木壮一入社。
1963年(昭和38年) 6月 「日本古書通信」の編集、発行並びに営業を敏夫次弟福次郎に一任。
1968年(昭和43年) 8月 八木敏夫「明冶古典会」会長就任。
「明冶百年記念大市会」を池袋西武百貨店で開催。
9月 「船橋商品センター」を建設し、都内に分散していた倉庫を集約。
帳簿によるバーゲンブックの単品管理開始。
12月 日本近代文学館編「名著複刻全集」制作。(八木乾二編集に参画)
1970年(昭和45年) ダイエー各店で「新本特価市」を開催。
岡田屋百貨店で「新本特価市」を開催していた流れでジャスコ、イオンでのバーゲンブックフェア開催につながる。
多くの量販店でフェア開催。
1971年(昭和46年) 八木書店古書目録創刊。
4月 古書部隣のビルを買収、増設。
11月 「天理図書館善本叢書」刊行開始。
天理図書館と編集委員の協力を得て、天理時報社の技術力で画期的な影印本として好評を得る。
20年をかけて全92巻を完結。

5. 神田小川町3-8本社時代

内容
1977年(昭和52年) 1月 本社及び卸部、出版部を神田小川町3丁目8番地に移転。
オフィスコンピュータを導入。
システムによるバーゲンブックの単品管理、伝票発行、売掛・買掛管理を開始。
10月 日本近代文学館と提携してマイクロ版「新潮」を発売。
複本を照合して完全な底本を作成。CTSを使用して索引を作成、著作権者に了承をもらい信頼を得て、長年大学等に納入。
1980年(昭和55年) 「新再販制度」スタート。自主基準作成などに八木壮一参画。
以降、バーゲンブックの講演、執筆など多数。
1981年(昭和56年) 1月 「東京美術倶楽部」加盟。
「船橋商品センター」増築、小川町本店売り場拡張。
「神宮古典籍影印叢刊」刊行。
1983年(昭和58年) 5月 中性紙(三菱製紙の特漉き)を日本の出版界で初めて採用し、天理図書館善本叢書「日本書紀兼右本」で使用開始。
1984年(昭和59年) 1月 「創業50周年記念会」開催。
八木壮一社長就任。
「創業五十周年目録」発行。
「きりしたん版落葉集」慶長三年古活字版、重要文化財 「勅版 日本書紀神代巻」慶長四年古活字版 後陽成天皇勅版 「陸放翁詩集」五山版 重要文化財 「奈良絵本伊勢物語」 「黄表紙」四十六種 「京に着ける夕」ほか漱石遺墨 「詠草 みやぎ野」樋口一葉歌稿 「偏奇館吟艸」永井荷風草稿 「磯田多佳女のこと」谷崎潤一郎草稿 「夕日」川端康成草稿
1987年(昭和62年) 11月 小川町本社新築竣工。
三井不動産に2階~5階を20年賃貸事業委託。
「本社新築記念目録」発行。
「夜桜の図」横山大観 「文づかひ」森鴎外草稿 「詠草」樋口一葉草稿 「時間」横光利一草稿 「つゆのあとさき」永井荷風草稿 「きのうけふ」谷崎潤一郎草稿 「不在地主」小林多喜二草稿 「奈良絵本竹取物語」 「春日本万葉集切」鎌倉中期写  「大聖武」伝聖武天皇五行 「荒木切」 「香紙切」 「尼崎切」など掲載
1988年(昭和63年) 本社5階一部、6階増築。
5月 「正倉院古文書影印集成」刊行開始し、好評を得る。
11月 マイクロ版近代文学館「文章世界」索引が物集索引賞受賞。
12月 「新蒐百撰目録」発行。
「夏目漱石遺品コレクション」84点 「村松」物語絵巻」岩佐又兵衛風古浄瑠璃絵巻 慶安~寛文頃・極彩色絵百八図 「異本是害坊絵詞」足利末期写 「絵入虫えらみ」喜多川歌麿画 蔦屋重三郎版 初刷 「異本枕草子」天正十一年古写本重要美術品指定 「古今和歌集」花山院師継自筆本 宝治三年写 「流離抄板畫巻柵」棟方志功  
1991年(平成3年) 10月 「義太夫年表近世篇」毎日出版文化賞特別賞受賞。15年で完結。
1992年(平成4年) 横浜の有隣堂本店で「バーゲンブックフェア」開催。その後の新刊書店開催につながる。
1993年(平成5年) 12月 「尊経閣善本影印集成」刊行開始。(現在、第七輯刊行中)
1994年(平成6年) 「第1回東京国際ブックフェア」に出展。以降連続して出展。
その後、小学館、講談社等で「非再販本流通懇談会」が作られ、主婦の友社、大手版元との取引開始。
3月 「船橋商品センタ-」B棟増築。
自動倉庫設置と作業棟完成。
1995年(平成7年) 3月 CD-ROM版近代文学館「文章倶楽部」をマイクロ版と共に刊行。
アカデミズムにおける初のデジタル出版と毎日新聞に紹介される。
1996年(平成8年) 1月 八木唯貴入社。
1997年(平成9年) 5月 古書部改装、EV設置。
古書の単品管理開始。
インターネットで情報発信開始。
1998年(平成10年) 本社コンピュ-タ更新。PCシステムと併用。
1999年(平成11年) 11月 創業者八木敏夫死去。
2000年(平成12年) 「北米アジア学会(AAS)」へ出展開始。
9月 船橋商品センターC棟(自動倉庫)増築。
PCによる単品在庫管理システム導入。
2003年(平成15年) 9月 業務システムをPCサーバーに完全移行。
2006年(平成18年) 12月 「徳田秋声全集」全43巻が第54回菊池寛賞受賞。
2007年(平成19年) 続群書類従完成会の出版事業を継承、「史料纂集」等を続刊中。
米国議会図書館に「別本源氏物語」を販売。
2008年(平成20年) 4月 東京美術倶楽部春季大会で東大寺荘園図 「越中国射水郡鳴戸村墾田図」落札。
後に奈良国立博物館が買上げ、平成22年に国宝となる。
2009年(平成21年) 書店でのバーゲンブックの販売と単品管理支援の為、独自JANコード付き売価ラベルの提供を開始。
有隣堂アトレ川崎店でバーゲンブックの買切常設売場を展開。
その後アウトレットブックストアとして三省堂書店神保町本店での常設売場、多くの新刊書店でのバーゲンブックストア、自由価格本販売を展開。
2010年(平成22年) バーゲンブック仕入部、 BBシール導入。
2011年(平成23年) 11月 ECサイト「八木書店バーゲンブックストア」を開設。
三井不動産提案により東京都の助成を受け、八木ビルの空調、照明を全面更新。
2012年(平成24年) 東京書店商談会に参加、以降大阪、福岡、札幌にも参加。
2013年(平成25年) バーゲンブックの大口顧客への船橋商品センターからの直送に加えて、小口顧客への直送も開始。
9月 「株式会社八木書店」を分割し、「株式会社八木書店ホールディングス」を設立・社名変更。分社化にて「株式会社八木書店」「株式会社八木書店古書出版部」を設立。
「株式会社日本古書通信社」も「株式会社八木書店ホールディングス」が持株会社となる。
2014年(平成26年) 10月 経済産業省の補助を受け「群書類従」のテキスト化を完成。
Web版をジャパンナレッジより配信し好評を得る。
2015年(平成27年) 4月 高精細カラー版「新天理図書館善本叢書」配信開始。好評を得る。