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古書部

活字をはみだすもの(第25回)開催のお知らせ

平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます。
さて、この度当店では前回に引き続き、近代文学特別講座「活字をはみだすもの」(第25回)を開催する運びとなりました。日本近代文学を専門とされる諸先生方に、当店所蔵の自筆資料を研究素材として利用して頂き、そこからどんな事柄がわかり、どんな可能性が見えてくるのかを解き明かして頂きます。実物を間近で見られるまたとない機会ですので、何卒奮ってご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。

2025.5.27 web公開スタートしました。

【募集人数】 各回10人程度、延べ40人の募集となります。

【講座の内容】
◆病気と文人 ―書簡から見る病んだ作家たち
◆講師 中澤 弥 先生 6月21日(土) 13:00~14:00
人間に取って何時の時代も病気はやっかいな相手である。作家も当然さまざまな病気にとりつかれ悩まざるを得ない。今回は、病中ながら長文の書簡を寄せた尾崎紅葉、インフルエンザで勤めを休んだ内田百閒、鵠沼で療養する子母澤寛、斎藤茂吉に不調を訴える森田草平と、時代も病状も大きく異なるが、作家たちの書簡から病に対処する作家たちの姿をとらえていきます。
〔講師紹介〕多摩大学客員教授、1959年生。文学と美術・映画などとの交流を主な研究テーマとする。また、横光利一など租界都市上海における日本人作家の活動にも興味を持つ。

◆1枚のハガキが証してくれたこと ―大阪毎日新聞社と菊池寛、芥川龍之介の一断面
◆講師 庄司達也 先生 6月21日(土) 15:00~16:00
1枚のハガキに注目します。東京日日新聞社の編集者に宛てられた1枚のハガキが、どのような経緯を背景にもって綴られ、投函されたのか。そこを遡って見てみると、菊池寛、芥川龍之介が大阪毎日新聞社の編集者との間で交わした「契約」の1文に辿り着くのだとの見取り図を持っています。皆さんと共に、この流れの源を確かめたいと考えています。
〔講師紹介〕横浜市立大学教授、1961年生。芥川龍之介の〈人〉と〈文学〉を主たる研究テーマとし、出版メディアと作家、読者の関係にも関心を持つ。また、作家が聴いた音楽を蓄音機とSPレコードで再現するレコード・コンサートを企画・開催。著書に『100年読み継がれる名作 芥川龍之介短編集』(監修、世界文化社、2024)など。

◆信子がくれた聖書  ―田村三治宛書簡にみる国木田独歩の青春
◆講師 河野龍也 先生 6月28日(土) 13:00~14:00
国木田独歩の早稲田時代の親友・田村三治の旧蔵資料を紹介します。明治二十年代、近代人を自認する若者たちは、キリスト教に大いに魅了されました。友人を叱咤することで自我を磨こうとした理想主義者・独歩の傷ましい青春の痕を探ります。有島武郎「或る女」のモデルにもなった独歩の妻・佐々城信子の署名入り聖書に残された日付は、駈落ちにいたるまでの彼女の逡巡と決意を物語ります。
〔講師紹介〕東京大学准教授、1976年生。佐藤春夫を中心に、美術と文学ジャンルの交流や作家の異文化理解に関心がある。著書に『佐藤春夫と大正日本の感性』(鼎書房、2019)、編著に『知られざる佐藤春夫の軌跡』(武蔵野書院、2022)、『佐藤春夫読本』(勉誠出版、2015)など。

◆高村光太郎「独居自炊」の思想 ―宮崎稔宛書簡から
◆講師 大木志門 先生 6月28日(土) 15:00~16:00
大戦中に多数の戦争協力詩を著した彫刻家で詩人の高村光太郎は、空襲によるアトリエ焼失後に岩手県花巻郊外の山小屋にこもり、独居自炊の生活を7年間にわたって継続した。その暮らしは厳しい自然と地域の人々との交流の中で営まれ、そこから新しくいくつもの詩が生まれ出ていった。光太郎自身により自己流謫とも表現されたその生活の様子と、戦中の自己と戦後日本の姿を見据えた詩人の晩年を、夥しく残された取手の詩人・宮崎稔宛の書簡からたどってみたい。
〔講師紹介〕東海大学教授、1974年生。自然主義文学・私小説を中心に研究。主な著書・編著に『徳田秋聲と「文学」』(鼎書房、2021)、『高村光太郎作品アンソロジー 戦争への道、戦争からの道』(田畑書店、2025)、『石川啄木作品アンソロジー エッセンシャル啄木』(同、2024)、『島崎藤村短篇集』(岩波文庫、2022)など。

【会費】無料
【会場】八木書店古書部 三階催事場
【主催】八木書店古書部 (担当八木乾二・小沼貴裕)
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-1-7 (靖国通り沿い・三省堂〔工事中〕並び)
営業時間:10:00~18:00 定休:日祝
TEL 03-3291-8221 FAX 03-3291-8223
https://catalogue.books-yagi.co.jp/
mailto:kosyo@books-yagi.co.jp

【参加申込みにつきまして】
konuma.yagibookstore@gmail.com 宛に、お名前、緊急連絡先、参加希望の回 をお知らせください。
随時ご返事を差し上げますが、業務の都合により、数日間のご猶予を頂くことがあります。
定員超過の場合は先着順とさせていただきます。
また発熱、咳など体調に不安がある方は、参加をご遠慮いただく場合がありますのでご了承ください。

〔講座内容〕

〔申込書〕

【各講座の予約状況】
◆ 病気と文人 中澤弥先生
◆ 6月21日(土) 13:00~14:00
※終了致しました。(2025.6.21 現在)
◆ 1枚のハガキが証してくれたこと 庄司達也先生
◆6月21日(土) 15:00~16:00
※終了致しました。(2025.6.21 現在)
◆信子がくれた聖書 河野龍也先生
◆6月28日(土) 13:00~14:00
※キャンセルのため、現状椅子のみの席、4席空いております。(2025.6.18 現在)
◆高村光太郎「独居自炊」の思想 大木志門先生
6月28日(土) 15:00~16:00
※満員御礼 お申込み締切とさせて頂きます。(2025.6.7 10:00現在)

【FAQ】
Q なぜこのような会を始めたのですか。
A 平成の初めの頃までは、年末になると文学館や大学図書館の担当者の方々が神保町にいらっしゃり、いろいろ品物を見て回られたものです。担当者の方々にとっては購入品以外の品物を見るよい機会であり、古書業者の側では現場の直接の要望を聞く絶好のチャンスでした。経費節減・支出削減の時流から次第にそのような習慣はなくなってしまいましたが、これではいけないと、ある先生が仰ったのが契機となり、現物を用いた勉強会のような集まりが生まれました。そのコンセプトは年々変化し、今では日本の近代文学に関連した一次資料に興味を持つ方々の緩やかな集まりとなり、半年に一度「物」と「活字」をつきあわせて「活字をはみだすもの」を探すようになりました。はみだしたものゆえ、結論に至らないこともありますが、思考過程と可能性を愉しんでいただければ幸いです。

Q 今までの参加者はどのような方々でしたか。
A 基本的に大学生を想定した講座内容となっておりますが、今まで参加されたお客様は、小学生から八十代の研究者まで、幅広い年齢層の方々です。

Q 大学の授業のように、先生方から指されることはありますか。
A 研究者や専門家の方々にプロのご意見を伺うことはありますが、学校の授業のように講座内容についての知識を確認することはありません。

Q 事前に作品を読んでおいたほうがよいでしょうか。
A 作家や作品についての知識は多い方が愉しめますが、当講座は「物」と「活字」をつきあわせて「活字をはみだすもの」を探すことがコンセプトですので、端的には「物」を見ないと始まらない部分があり、厳密な予習は難しいように思われます。

Q 一講座あたりの参加人数が少ないのはどうしてですか。
A コンセプトに「物」を見ることが含まれるため、どうしても大人数に対応できません。講座机のまわりに十人程度、壁際の椅子のみの席に五人程度の人数で締め切らせていただきます。

※ご意見、ご質問ありましたら konuma.yagibookstore@gmail.com までお知らせください。